PITH AFRICA ─ いま、ラゴスから生まれる“新しいクラフト”の形。
ファッションという言葉の中には、じつは二つの意味がある。
ひとつは、流行としてのファッション。
もうひとつは、文化と技術、思想としてのファッションだ。
PITH AFRICA(ピス アフリカ)は、明らかに後者に属するブランドだ。
表面的な大胆さではなく、その奥にある姿勢や手仕事、
そして時代と向き合うクリエイティビティが存在している。
“ラゴス”という都市がブランドをつくっている。
ナイジェリア最大の都市、Lagos(ラゴス)。
音楽、映画、アート、ストリートカルチャーが濃密に混ざり合うこの都市は、
アフリカの若者カルチャーの震源地とも言われている。
ここでは、ファッションは「自己表現」であり、
「社会との対話」であり、ときには「抵抗」でもある。
PITH AFRICA も例外ではない。
その服は静かで洗練されているが、奥底には確かなメッセージが宿っている。

“性別の概念を越える服”という選択。
ブランドの公式説明には、こうある。
dual-sex fashion house
つまり、ジェンダーカテゴリーを前提にした設計をしていない。
トレンドとしてのジェンダーレスではなく、
生活やアイデンティティの中に自然に存在する選択としてのデザイン。
着る人に合わせてシルエットが変わり、
着こなす人の価値観がそのままスタイルになる。
その思想こそ、PITH AFRICA が評価される理由のひとつだ。

アップサイクルは、“作品化”のための手段。
PITH AFRICA の象徴とも言える再構築デニムは、
ただのリメイクではなく、クラフトとアートの融合に近い。
古着として役目を終えた生地を解体し、
不均等なステッチや再構築された曲線が服に新しい表情を与える。
完璧ではなく、意図的な不完全さ。
工業製品ではないからこそ生まれる個性。
その一つひとつが、唯一性を持ったプロダクトとなる。
量産することより、価値を残すこと。
それが PITH AFRICA のものづくりだ。

「着ること」がコミュニケーションになる服。
PITH AFRICA の洋服は、見るだけでは完成しない。
服はキャンバスであり、着る人が作品を完成させる存在だ。
・その日の気分
・生活している都市
・文化的背景
・選んだアクセサリーや靴
すべてがその服の意味を変えていく。
だからこそ、このブランドの服は
“語れる服”なのだ。
静かに、しかし確実に広がる支持層。
2025年、日本で開催されたセレクト企画
「Tokyo Africa Selection 2025」への登場は大きな一歩だった。
いま、日本ではアフリカ発ブランドが徐々に注目を集めているが、
その中でも PITH AFRICA は
思想・美意識・クラフトの三軸が揃った稀有な存在だ。
インスタグラムの投稿には、
モデル、アーティスト、写真家、ミュージシャンが写り、
そのコミュニティは国境を越えて広がっている。

服ではなく、選択を買う。
それが PITH AFRICA を選ぶということ。
ファストファッションでは語れない価値観を求める人へ。
消費ではなく共存、所有ではなく関係性。
その答えのひとつとして、
PITH AFRICA はこれからさらに存在感を増していくだろう。
